2025年国際女性デーにおけるベルリンでの性的暴力を含む警察弾圧に対する抗議声明(翻訳)

ベルリンでの2025年3月8日国際女性デーにおける国際主義フェミニスト連合主催のデモにおいて振るわれた性的暴力を含む警察暴力に対し、私たちは怒りを持って抗議する。パレスチナ連帯運動に対する抑圧がますますエスカレートする一方で、依然としてドイツ社会の大部分がこれを黙殺ないしは知ろうとすらしていないことに、私たちは慄然としている。

同デモでの警察暴力に対し、警察の立場のみに立った報道を行っているrbbに対する抗議呼びかけ
@depressemedia
https://www.instagram.com/p/DHBpBRmNoAZ/

ベルリン警察、マスメディアへの抗議をひろく呼びかけるとともに、より多くの人が状況に注目し、具体的な行動を起こしていくことを呼びかける。ファシズムはもうそこにある。

以下、主催を含む4団体からの詳細な報告の日本語訳を掲載する。

(注意:以下、警察による身体的および性的暴力の直接的な描写があります)

原文英語 https://www.instagram.com/p/DG-8EWNsABc/

原文ドイツ語 https://www.instagram.com/p/DG_msHkt9XY/

ベルリンでの革命的3月8日デモにおける逮捕、大規模な警察暴力、犯罪化に関する声明

国際主義フェミニスト連合、pa_allies、Palestine Speaks、The Arrest Press Unit

ベルリン、2025年3月9日

2025年3月8日、国際主義フェミニスト連合が主催する革命的3月8日デモがベルリンのオラニエンプラッツで開催された。この日のベルリン警察はまたもや、デモ参加者に対して暴力をエスカレートさせた。このデモは、3月8日が祝賀の日ではなく闘争の日であることをあらためて確認するために呼びかけられたものである。すなわち家父長制的支配、植民地主義的、帝国主義的な支配と暴力に対する闘いである。またしてもドイツ当局は基本的権利を保護する代わりに、警察力を武器として利用し、反対の声を封じ、抑圧に抵抗する人々を犯罪者扱いした。

定型となった犯罪化と警察による抑圧

当初より、警察はデモ隊が行進することを積極的に妨害し、集会を包囲して移動を阻止した。かれらは正当な理由もなく承認されたデモのコースを変更し、意図的にデモ参加者を抑え込み、攻撃しやすいようにした。これは、親パレスチナの抗議活動を事実上抑制する最近のベルリン警察の指針と一致しており、デモ参加者の集会の権利と表現の自由を奪っている。

非暴力的なデモにもかかわらず、警察は極度の暴力を振るい、標的を定めた抑圧を行った。以下のような行為が確認された。

圧倒的な警察動員と抑圧
  • 3月8日に開催された他のすべてのデモにおいて、目に見える警察の介入はなかった。しかしこのデモは最初から、大量の警官動員そして圧倒的な警察暴力に直面した。当局はデモの進行をさまたげるために障害物を意図的に設置し、障壁を積極的に設置し、デモを妨害・抑圧するための妨害物をつくりだした。
  • 警官らはデモの進行を阻止し、主催者たちに長時間の遅延を強いた。また、威嚇行為を行った。
  • 警察は行進ルートを変更し、この戦術を利用して群衆の一部を不安定化させ、孤立させた。
野蛮な逮捕と物理的暴力
  • 少なくとも29件の逮捕が記録され、デモ参加者に対して極端な暴力が使用された。
  • デモ参加者は顔面を殴打され、地面に突き飛ばされ、過剰な力で拘束されるなどした。数人は手や顔、脚や膝に負傷を負い、警察の強引な掴み方や蹴りにより指が折れる寸前の状態となった例すらあった。
  • ある若い女性参加者は暴力的に逮捕され、他の2人と一緒に消防署に連行され、さらなる非人道的な扱いを受けた。目撃者によると、警察は彼女の身体を故意に露出させ、屈辱的な姿勢で拘束した。
  • 5人が勾留所 (Gefangenensammelstelle) に連行され、法的支援や医療処置を受けないまま勾留された。
  • 1人の被逮捕者は意識不明の状態となり、病院に搬送された。
FLINTA* のデモ参加者に対する性暴力

(女性、レズビアン、インターセックス、ノンバイナリー、トランス、アジェンダーの略語)

  • あるデモ参加者は警察車両に引きずり込まれ、警官たちに無理やり拘束された。彼女は首を絞められ、顔を地面に押さえつけられ、抵抗していないにもかかわらず両手を背中で縛られた。
  • 警官たちは意図的に屈辱的な姿勢で彼女を保持し、身体の一部を露出させる形で拘束した。
  • 彼女が完全に制圧された後も、警官たちは虐待的かつ品位を失わせるような扱いを続けた。一人の警官が自分の脚の間に彼女の頭を強制的に固定し、他の警官たちが彼女の身体を地面に押し付けた。彼女が助けと医療援助を叫んで求めても無視された。
  • 別の若い参加者が警察官に窒息させられつつ乱暴に引きずり回される様子が目撃された。目撃者によると、拘束されている間何度も打ちすえられたとのことだ。
  • 消防局は一部の事例で警察と共謀し、デモ参加者を消防署内で拘束する手助けをした。ドアを閉め切った後、内部で暴行が行われた。
  • 目撃者によると、少なくとも4人が消防署内に引きずり込まれ、外から見えない場所で殴打や虐待を受けたという。
  • 消防署内で行われた一人の逮捕は極めて暴力的であり、性暴力を含む要素があったと報告された。これは拘束下の人々に対する性暴力の体系的な使用を示している。
  • 複数の目撃者が、今回の抗議行動中の警察による性暴力の件数は通常より多かったと報告している。ジェンダーに基づく暴力が抑圧的手法として意図的に増やされたことが示唆される。
  • 多くのFLINTA参加者が警官たちが乳房を意図的につかんだと報告している。これは圧迫や拘束の一環ではなく、明確な性的暴行である。単なる接触ではなく故意にこねまわすような行為を行われたという報告もある。
  • あるデモ参加者は暴力的な状況を複数回報告している。横断幕を持っていた手への複数にわたる打ち据え、胸部への連続した殴打、警官による乳房の意図的触りなど。さらに窒息させられ、顔と首を手で押さえつけられ、膝と太腿を4回激しく蹴られた。これにより彼女はほとんど歩けなくなった。
  • 複数のデモ参加者が警官に首を締められたことを報告している。その一つでは参加者が警察の暴力行為を撮影しようとした際、背後から二度に渡り首を締められたという事例がある。
警察による極度の性暴力の例

ある若い女性は、極めて意図的かつ性的な警察暴力にさらされた。公然と行われたこの事例は、法執行機関がデモ参加者の品位を損なわせ、暴行し、沈黙させるため、系統的にジェンダーに基づく暴力行為を使用していることを示している。

この暴力は、警察が群衆から彼女を強引に引きずり出したことで始まった。彼女は「Lass mich, lass mich」(放して、放して)と繰り返し叫んでいたにもかかわらず、即座に地面に押し倒され、口と目から出血しているにもかかわらず警官らによって頭部を舗道に押しつけられた。

1メートル以内に立っていた目撃者たちは、警察が彼女の頭を過度な力で押し下げる様子を報告した。群衆からの「彼女は息ができない」という叫びを警察は無視したと述べている。

暴行が続く中、スカートを着用していた若い女性は、警察によって故意に身体を露出させられた。警官らは覆い隠すのではなく、むしろスカートをさらにまくり、身体をさらに露出させた。その後、警官らは彼女の体側面や身体をはげしく触りだした。彼女はまったく抵抗できない状態で動かず横たわっていた。この時点で近くにいた人々は「もう身動きしていない」と叫んでいたが、警官らはなおも虐待を続けた。

最も恐るべき瞬間は、ある男性警官が彼女の頭を自分の足の間に力ずくで押し込み、顔を直接自身の性器に押しつけたときだった。

その屈辱的な体勢を他の警官が拘束しながら維持し、彼女の髪をつかんで引っ張りつつ強引に手錠をかけた。

この全体の暴行中、警察は「Hören Sie auf, Widerstand zu leisten」(抵抗をやめろ)と繰り返し叫んでいたが、彼女は既に意識を失い、ぐったりし、まったく動くことすらできなかった。

彼女が意識を失った後も、警官たちは彼女への虐待を続けた。彼らは彼女を物のように持ち上げ、何度も舗道に投げ出したあと、消防署に引きずって行き、その後の虐待は公衆の視線から隠された。この事例は警察による性暴力があきらかにエスカレートしていることを示している。法執行機関が女性を物理的に暴行するだけでなく、露出、まさぐり、警官の身体との強制的接触を通じて、彼女を意図的に屈辱的に扱ったことを示している。

記録行為と法的援助に対する妨害
  • 警官らは意図的に明るいライトを使用し、その残虐行為の記録を妨げ、デモ参加者やジャーナリストが逮捕や暴力行為を撮影することを阻止した。
  • 警察は積極的に拘留者の氏名と生年月日に対するアクセスを阻害し、法的支援や医療ケアの調整を難しくした。
  • 医療関係者は負傷者へのアクセスと治療を妨げられ、警察は救護要員が負傷者のもとへ向かうのを物理的に阻止した。
  • 多くのデモ参加者がパニック発作やぜんそく発作を起こし、警察の封鎖線を通って医療援助を受けることは極めて困難であった。警察は連携してバリケードを作り、デモ参加者を包囲することで、医療関係者が負傷者のもとに向かい救護することを不可能にした。
エスカレーション戦術および力の行使
  • 警察は群衆にあいた隙間を戦略的に利用し、参加者が比較的ばらけている瞬間にデモに突入し、個々の人々を意図的に隔離したうえで攻撃や逮捕を行った。
  • 長時間の遅延と抑圧によりデモの規模が縮小するにつれ、警察は暴力を強化し、行進が続くにつれて群衆への攻撃はより暴力的になった。
  • デモの後半部分ではとりわけ警察の極度の攻撃性が目立った。日が暮れて暗くなったことでジャーナリストや目撃者が虐待を記録することが困難になった。
  • 警察は催涙スプレーを恣意的に使用し、デモ参加者に重度の呼吸困難や皮膚炎を引き起こしたとの報告がある。
  • 機動隊は必要に応じてデモ参加者を包囲して大量逮捕を行うことを目的とした隊列を組み、緊張緩和ではなくエスカレートさせる意図を示した。
パレスチナ支持の声を沈黙させるための一斉取り締まり

革命的3月8日デモでの極度の弾圧は、ドイツがパレスチナ連帯を犯罪化し、抵抗を抑圧する広範なキャンペーンの一環である。このデモにおける暴力的な弾圧は例外的なものではなく、ファシスト的かつ植民地主義的な政策に抵抗する者たちを黙らせるというドイツの揺るぎない意志を反映している。

私たちは要求する
  • あらゆる種類の警察暴力の即時停止
  • デモでの警察の残虐行為に関する独立した調査
  • 拘束されたデモ参加者の即時解放
  • 過剰な力を行使し、被拘束者に虐待を加えた警察官の停職
  • 抗議活動中における女性、トランスジェンダー、ノンバイナリー、クィア、難民など攻撃を受けやすいグループの人々の安全を確保する保護措置
  • FLINTA、パレスチナ人、黒人、アラブ人、BIPOC(黒人、先住民族、有色人種)のデモ参加者を標的とする植民地的・人種差別的な治安政策の廃止
私たちは黙らない。パレスチナ解放を求める抗議活動はベルリンの街頭で続けられるだろう

(2025年3月13日追記)

アムネスティ・インターナショナル・ドイツ
KOP Berlin(人種差別的警察暴力に反対するキャンペーン)
ReachOut Berlin
3団体による抗議声明
https://www.instagram.com/p/DHErBFoNf25/


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